イジワルな先輩との甘い事情


「同じ事考えてました。あの時、先輩が蓄光塗料の事教えてくれたから成功できたんですよね。
他にも、予算を見直してくれたり、教室の割り当てを実行委員に交渉してくれたり……たくさん先輩に助けられました。全部、先輩のおかげです」

「ありがとうございます」と微笑むと、私に視線を移した先輩が、困り顔で微笑んだ。

「俺は、花奈が思うほどできた人間じゃないよ。完璧でもない」

「だから、嫉妬だってするし大人げない行動だってとるよ」と言われて思わず黙ると、先輩が呆れたみたいに笑った。

「さっき、隣のテーブルで楽しそうに話す花奈見てずっとイライラしてた。
おかげで話しかけてくれてた子の話を全然聞いてなかったから、気分悪くさせちゃったみたいだったけど」
「あ……あの、和田さんとは、何でもない会話してただけで……。
雰囲気が松田に似てたから、それで……」
「でも最後の方は違って見えたけど。それに、恋人がいるかどうか聞かれた時、曖昧な答えしか口にしていなかったろ?
花奈はともかく、相手の男は好意を持ってたんじゃない?」
「それは……」

ハッキリと違うって答えられなかったのは、和田さんが最後の方少し違う雰囲気を出していた事に気付いていたから。
それが私への好意とは限らないし、何かを言われたわけでもないから分からないけど……。

でも、先輩が言うくらいなんだから、そうだったのかもしれない。

そう思って「ごめんなさい」と謝ってから、先輩を見つめた。


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