イジワルな先輩との甘い事情
その日のうちに美術サークルの子に話をしにいったら、あっという間にそれで決定して。
先輩が演劇サークルから暗幕を借りてきてくれたから、予算は画用紙と塗料代だけで済んだし、当日もそれなりに集客もできて楽しんでもらえたみたいでホッとした。
『お礼に、何かご馳走させてください』
後日、勇気を出して先輩にそう話しかけたのは……白状してしまえば、半分以上はただの恋心だったけれど。
食事を一緒に食べた、その帰り道だったと思う。
冬の星が綺麗に見える理由を教えてもらったのは。
その時も、見上げた星空はもちろん綺麗だったし、その翌年、翌々年って、文化祭の様子を覗きに来てくれた先輩と、帰り道見上げた空だっていつも綺麗だった。
だけど、今見上げる冬空は……付き合って初めて迎えるクリスマスイブに見上げる星空は。
その時よりもずっと綺麗に澄んで見えた。
空気が冷たくて鼻の奥がスンッてする。
「いつか、大学で花奈たちが作った星空とどっちが綺麗かな」
隣で同じように空を眺めていた先輩に言われて、思わず笑みがこぼれた。
同じ事を考えていたのが嬉しくて。
そんなに遅い時間じゃないけれど、大きい通りじゃないからか道に人影は見当たらない。
車の通りもあまりない道は、しんとした空気に包まれていた。
こんなに広いのにふたりきりみたいに思えて、ドキドキする。