イジワルな先輩との甘い事情
「そうなの?」と、首を傾げて聞く先輩になんとかコクンと頷く。
でも、先輩はそう聞きながらも、指先では私の髪をいじっていて……優しくも妖美に見える笑みを浮かべて私を見ているから、ドキドキしちゃって上手く答えられない。
「……そういう顔、よくないです」
まるで意地悪な誘惑をしているみたいな眼差しと仕草に告げると、先輩がくすりと笑う。
「どうよくないの?」
「ドキドキするし……きっと、他の子だってみんな、先輩に夢中になっちゃうから」
だからよくないです。
そう見上げると、先輩はふっと笑って「ああ、花奈の後輩の子とか?」と言った。
突然出てきた名前に驚いて「なんで……?」と口にした私に、先輩が答える。
「誰に聞かれるか分からないような場所でする話じゃないんじゃない?
まぁ、おもしろかったけど」
誰に聞かれるかも分からない場所……。
咄嗟に今日の事かなって思ったけど、安藤さんと先輩の話をしたのはエレベーターの中だし違う。
そう考えてから、戦いの火ぶたを切った給湯室での会話を聞かれてたんだって分かって、慌てて「すみません……!」と謝ると、「大丈夫だよ」とすぐに先輩が言う。