イジワルな先輩との甘い事情
「北澤さんの事好きなんですか?って聞いたら、先輩すぐに好きだとか答えちゃうし、勝負しましょうかなんて、ちょっとからかうつもりで言ったら、負けないなんて言い出すし。
しかも、試験勉強本気でやりすぎて、寝不足なのか真っ直ぐ歩けないくらいフラフラしてるし……。
そういうの見てたら、本当に好きなんだなぁって……なのに軽い気持ちでからかっちゃって悪かったなって思って」
「だから、すみません先輩」と、てへって笑う安藤さんに、張りつめていたものが音を立てて抜けていく。
急に目の前に現れた強敵に負けまいと必死になってただけに……それを冗談でしたって言われてもすぐに受け入れられなくて。
だからぼんやりして何も言えずにいると、先輩が私の頭をポンっと撫でる。
「ほら、花奈。謝ってるんだし何か言ってあげないと」
「え、あ……あの、安藤さん、本当に北澤先輩の事、諦めちゃっていいの?」
好きだったんじゃないの……?と、眉を寄せながら聞いた私に、安藤さんはケロッとした顔で笑って答えた。
「諦めるもなにも、最初からほとんどないような気持ちだったんですって。ハイスペックだからいいなぁって程度で。
別に先輩に気を使ってとかじゃないですから、ほんと……。
多分、先輩には理解できないと思うんですけど、本当にただ楽しそうだからからかっただけなんです」
「多分、安藤さんは園田さんと同じタイプって思えば、花奈も分かるんじゃない?」