イジワルな先輩との甘い事情
なのに、どこの書類だかも分からないものを簡単にシュレッダーするわけにはいかない。
それが必要な書類だった場合、責任が取れないからだ。
多分どの課も共通だけど、シュレッダーにかける書類は機械にかける前に一度本当に破棄すべきものか確認するって決まりがある。
万が一大事な書類が紛れ込んでいた場合を考えて。
お客様の印鑑が押してある書類なんかを間違って破棄してしまったら、営業が出向いて謝ってもう一度書類をもらい直す事になるし、お客様に不信感も与えてしまう結果になる。
だから、こんな風にひょいって渡された、何が書いてあるのかも分からなければ重要度も分からない書類を簡単にシュレッダーできない。
そう思って「私にはその書類が必要なものか判別できないのですみません」と告げると、軽く舌打ちされた。
「チッ」って音に耳を疑う。
女の人の舌打ちなんて初めて聞いた……。
「融資管理課でシュレッダー用のゴミ箱に入ってたヤツ。だから、シュレッダーしていいの。これで分かる?」
「でも……シュレッダー用ゴミ箱に入っててもシュレッダーかける前にはもう一度見直すのが決まりで……。
あの、その前に、勝手にそこから持ってきたんですか?」
なんで他の課のシュレッダー用ゴミ箱なんて漁ったんだろう。
単純に疑問で聞き返すと、古川さんは眉を潜めて私を睨むように見て「本当、目障り」とぽつりと呟く。
目障りってなんでだろうと思いながらも、この目力を前に聞き返す度胸なんてなくて疑問を呑み込んだ。