イジワルな先輩との甘い事情



「えっ、じゃあ二回連続でドタキャンされてるの?!」
「えー、さすがにそれはありえないよなぁ」

話した途端、そんな風に追い打ちをかけてきた園ちゃんと松田に、視線を伏せて口を尖らせる。

日曜日。ホテルのレストランはなかなかの混み合いを見せていた。
というのも、今月限定でスイーツバイキングを開催しているからで、園ちゃんに誘われてきてみたはいいけど……。
少し場違いだったかもしれない。

他のテーブルの勢いがすごくて、興味本位で来た事を少し後悔する。
ひとり2900円だし、元を取るのに必死で、そこら中から殺気すら漂ってくる始末。
店員さんが新しいスイーツの乗ったお皿を運んでくる度にそこら中で目が光っていて異様だ。

この間の980円食べ放題のドーナツ屋さんとはわけが違う。

時間制限が二時間で、スイーツ以外の軽食も置いてあるのが救いだった。特に松田には。
カニのトマトクリームパスタを山盛りによそってきて嬉しそうにしてたから、この間のドーナツよりは満足していてよかったなぁと思う。

「昨日も、朝電話があって、都合が悪くなったからって。また埋め合わせしてくれるとは言ってたけど……」
「都合悪くなったなら仕方ないけど、でも二回連続って。
今までは一度もキャンセルされた事なかったのに、今回急に二回でしょ? おかしくない?」

アップルパイを食べながら言う園ちゃんに、こくりと頷く。



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