偽りの自分。



....こんなのを回すの?


どうしよう。



『早く回さないと、
美鈴ちゃんに怒られるよ?』


さっき渡してきた前の席の女の子が言う。


『そうだよね....』


そういえば、美鈴は短気なんだった....!


吉野、ごめん。


でもあたしは吉野を許していないから。


あたしは後ろの席の人に手紙を渡すことにした。



『吉野さんに渡し....』



後ろの席の人はカイトだった。



カイトは無言で手紙を奪うようにして、
横の人に手紙を渡した。


『ありがと。』

笑顔で言ったつもり。





そして、授業なんか聞かずに
吉野を見ていたらやっと
手紙が届いたようだ。



吉野は手紙を開いて、
驚いて慌てて手紙を閉じている。


『吉野、笑えるっ』 


斜め右に座る優花が独り言を言っていた。


また泣きそうな顔になっている吉野。


美香たち、あたしはミスだよ。


ミスの言うことは聞かなきゃいけないはず。


“いじめはやめよう”言おうかな?


でも、またいじめられたら?


ミスの座をまた取り返されたら....
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