【短編】みぞれ恋心
塾の建物を出ると、チラチラと雪が降っていた。
「…雪」
発した言葉がその白いものについてなのか、あの子についてなのかはもう分からない。
空に手を差し伸べる。
冷たい花びらが手袋に落ちた。
しゅん、と音を立てて消えていく。
いや、実際には音などしなかったのかもしれない。
どちらにしろそれは、
僕の中の彼女と小さな恋心が消えていく音だった。
「…雪」
発した言葉がその白いものについてなのか、あの子についてなのかはもう分からない。
空に手を差し伸べる。
冷たい花びらが手袋に落ちた。
しゅん、と音を立てて消えていく。
いや、実際には音などしなかったのかもしれない。
どちらにしろそれは、
僕の中の彼女と小さな恋心が消えていく音だった。

