~恋に気付くとき~
ある夜のこと…。


料理好きなあたしのお母さんは、夕飯にトールちゃんとトールちゃんのお母さんを呼んで皆で食事していた。

うちも、トールちゃんとこもお父さんは帰り遅いからね。


いつもの夕飯て感じ。
他愛のない会話の中でトールちゃんのお母さんが言った。


「結ちゃんっ、トールね、高校三年生だっていうのに彼女もいないみたいなんだけど、学校でどうなのかしら…。」


ゴホっ…。

お味噌汁を飲んでいたトールちゃんが、むせた。


えっ…。遥香先輩のこと言わないほうが良いのかな?


秘密なの?

とりあえず…

「あたしっ、良く知らない。だって、学年違うから、学校ではあんまりトールちゃん見掛けないしっ」


「あら、そう…。」
残念そうなおばさん。

あたしのお母さんも、
「トール君、こんなにカッコいいのに、もったいないわぁ。トール君っ、あんまり結の面倒ばかりみてると、行き遅れちゃうわよっ。」


お母さんたらっ。

母親同士は、ねぇってうなずきあってる。
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