君待ち人
「約束って不思議ですよね」
「不思議?」
「はい。消えそうで消えない、曖昧だけどどこかしっかりした何かを持っている。そんな不思議な感じがするんです」
例えば、真っ白な画用紙に、水をいっぱい含ませた水性の絵の具で描く。
そこにできるうっすらとした、ふわふわなモノ。だけどそこには、そこにしかない柔らかな光が詰まっている。
手に届きそうで届かないような、脆くもあり頑丈でもある。そういうのが、約束。
「……そうだね。確かに約束は、不思議だ。口でした軽い約束なんてすぐに忘れ去られそうだけど、こうやって残ってる」
約束は、人と人を結び、人と心を結び、今日と明日を繋いでく。
まるで一つの輪のように。
初恋の男の子は、この約束を憶えているだろうか。
戻ってくるだろうか。
未来を知るのは怖くて。それでも私は、毎日ここで君を待つ。
それは未来を知りたくなくて逃げてるのではなく、君を待つと同時に未来を待つということ。
「約束は、守るためにあるのでしょうか。破るためにあるのでしょうか」