君待ち人
ふとした疑問を、凪雲先輩にぶつけてみた。
凪雲先輩は考える素振りをしてから、どこか遠い場所を見つめた。
その場所は、昨日見ていた場所と同じだった。
「破るためにあるのなら、きっと待ち人は来ないだろうね」
返ってきたのは彼の考察ではなく、結果論だった。
また、彼は、軋んだ微笑みを顔に貼り付ける。
その笑みを作らせているのは、私だ。
私が質問したから、そんな表情をさせているんだ。
喉が、きゅっ、と締め付けられた。
「守るためにあるのなら……いつか待ち人は来ますよね」
その表情が薄れるようにと、凪雲先輩を心配そうにチラチラ見る。
どうか、守るために約束が存在することを、信じさせて。
「そうだね」
凪雲先輩はそう一言頷いて、目を細めた。またどこか遠くを眺めながら。