君待ち人




ふとした疑問を、凪雲先輩にぶつけてみた。


凪雲先輩は考える素振りをしてから、どこか遠い場所を見つめた。


その場所は、昨日見ていた場所と同じだった。




「破るためにあるのなら、きっと待ち人は来ないだろうね」




返ってきたのは彼の考察ではなく、結果論だった。



また、彼は、軋んだ微笑みを顔に貼り付ける。


その笑みを作らせているのは、私だ。

私が質問したから、そんな表情をさせているんだ。



喉が、きゅっ、と締め付けられた。




「守るためにあるのなら……いつか待ち人は来ますよね」





その表情が薄れるようにと、凪雲先輩を心配そうにチラチラ見る。



どうか、守るために約束が存在することを、信じさせて。





「そうだね」



凪雲先輩はそう一言頷いて、目を細めた。またどこか遠くを眺めながら。




< 45 / 278 >

この作品をシェア

pagetop