Only Our Memory
しばらくして病院に着いた。




ここに駆琉が…。




足が思うように動かない。



手の震えが止まらない。




恐い…っ。




そう思ったとき




「俺も同じだよ。」




泰生君のその大きな体で、手で、私の体を包み込んだ。



泰生君の腕の中でこくっと頷き、無意識に握っていた泰生君の服の裾を離した。



近くに感じる泰生君は、僅かに震えていた。



そうだよ。



辛いのはみんな同じなんだ。



一番辛い思いをしてるのは、駆琉なんだ。




早く行かなきゃ。




駆琉の元に。




手をぎゅっと握ってくれて、ようやく歩き出すことができた私は、


駆琉のいる病室に急いだ。

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