Only Our Memory
「駆琉っ!」




勢いよく病室のドアを開ける。



そこには、泣いている由佳さんと…





包帯を頭に巻いて、酸素マスクをつけている駆琉がいた。




「かけ、る…?」




本当に駆琉なの?




嘘だと言ってよ。




これは夢だ、って…。




私は駆琉の姿を見て、ただ立っていることしか出来なかった。




「トラックに、はねられたんだ。飲酒運転だったらしくて。

意識は…まだ戻ってない。でも、生きてんのが奇跡、なんだってさ。」




奇跡…?




今の私には、奇跡なんてものが、良い言葉に聞こえなくて。



なんで駆琉が、と思うだけだった。





どうして駆琉だったの…?




駆琉は何も悪くないのに…!




神様は意地悪だ。

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