イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
きっと久世先輩も本が好きでよくここに来てるのかもしれない。

この飴も優しい久世先輩がくれたものだろう。

自分で勝手に見当をつける。

今すぐ食べるのはもったいなくて飴を制服のポケットに入れると、お礼の手紙を書いて生徒会室に向かった。

ノックしてドアを開けるが、久世先輩の姿はそこに見当たらない。

「あのう、久世先輩は?」

ドアの近くにいた生徒会役員の男子学生に聞くと、先輩は残念なことに不在だった。

「ああ、会長と副会長は先生に呼ばれてね。もうすぐ戻ると思うよ。中で待ってれば?」

せっかくの申し出だったが、私は即座に断った。

知っている人がいない生徒会室で久世先輩を待つのは、私には無理だ。今ここに立ってるだけでも生きた心地がしないのに……。

生徒会役員はみんな女子にモテるって話だし、変に誤解されてファンの女の子に睨まれても困る。

その役員の人に久世先輩の学ランを託し、逃げるようにそそくさと生徒会室を後にする。

久世先輩に図書室で学ランをかけられたのは、その日だけじゃなかった。
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