イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
悪夢でも見てるのかな?

昨日の夜、夜更かしして本を読んでたからこんなことになっちゃったのかな。

早くこの悪夢が終わりますように……。

暗い気持ちのままチャペルに向かい、父と一緒にバージンロードを歩いた。

姉のためにオーダーメイドで作られたルブタンの靴は、詰め物をしても歩く度にカプカプして、優雅とは程遠い歩き。

うつ向きながらペンギンのように歩く私の姿は、参列者の目にも無様に映ったに違いない。

私の耳に参列者のざわめきが届く。

姉の薫子じゃない……とか、あの子……誰?とか言ってるに違いない。

まあ、いくら頑張っても姉にはなれない。それは十分わかってる。

私は小さい頃から美人の姉と比較され、「地味な桜子」と陰で言われ続けてきた。

きっと、鷹司さんもそう思ってるはず。
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