イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
……なんか屈辱的。

ところどころピンで留めてサイズを調整すると、今度はヘアメイク。

ローズ系の口紅やマスカラ、チーク……普段しない化粧を施される。

皮膚呼吸出来るんだろうか。

そんな心配をしながら、メイクが終わるのをじっと待つ。

……なんか歌舞伎役者みたいな仕上がりになってる気がしたが、よくよく鏡を見るとそこには知らない自分がいた。

子供みたいに真ん丸の目は、茶系のアイシャドーの効果でちょっと大人っぽく見えるけど、まだまだ子供が化粧されてる感じ。

姉に似てるような気がするけど……やっぱり姉みたいに綺麗にはなれない。

バラの花みたいな華やかさがない。

悪くはないけど……。

それからセミロングの髪をアップされ、白とピンクの花飾りをつけられる。

メイクが終わった私を見て、母が「きれいよ、桜子」

と連呼した。

親にお世辞を言われると、なんだか自分が虚しくなってくる。

何だろう、この茶番。
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