イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活

「そこで止めるなよ。怒らないから言ってみろ」

「ホントですね？……友達が言ったんです。刹那さんは私の事が好きだって。笑っちゃいますよね」

私は念を押す。

わあー、言っちゃったよ。

きっと怒るか、それとも笑い飛ばすか……。

そう思っていたのに、刹那さんの反応はどちらでもなかった。

あれれ？

刹那さんは一瞬黙り込むと、私を見つめフッと笑った。

「面白い意見だ。それで、桜子はどう思う？」

「……どうって。あり得ないでしょう？私ですよ。お姉ちゃんじゃないんですよ」

「それは、俺が薫子の事が好きだと言ってるのか？」

「え～と、それは……」

刹那さんがお姉ちゃんが好きと言うのも……正直ないような気がする。やっぱり政略結婚だから……。

「それこそあり得ないな」

刹那さんがそう言った時、インターホンの音がした。

右京さんが迎えに来たのだろう。