イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
いつものように講義を受けていても上の空。

じっと左手の薬指の結婚指輪を眺めていた。

最初は違和感あったのに、今ははめてないと落ち着かない。

隠すこともなくなった。

あっという間にランチの時間になり、奈々子と一緒にテーブルにつく。

「……あんた、豆腐と野菜ジュースって……。それが昼食?」

奈々子が私のトレーを見て唖然とする。

「そう。なんか食欲なくて……」

刹那さんが海外出張に行ってしまってから、食事を作る気力も、食べる気力もない。

「あんたが食欲ないって相当よ?食べるのが趣味なくせに、一体どうしたの?」

「あっ……うん」

私は箸で豆腐をつつきながら、言葉を濁す。

「週末何があったの?足の火傷だけじゃないわよね?」

奈々子が心配そうに私の顔を覗き込む。

一体何を話せばいいんだろう?

刹那さんの事?飴の事?それとも雪乃さんの事?
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