イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
それなのに、親友は私の苦労を無駄にするのだ。

「大丈夫じゃないんですよ。男性の視点からアドバイスを……‼」

横から面白そうに口を挟む奈々子の口を慌てて塞ぐ。

「アドバイスって?」

「あはは……研究論文でちょっとつまずいちゃって。今度改めてご相談します」

……苦しい言い訳。

「論文ねえ」

顎に手を当てながら、久世さんがじっと私を見る。

これは怪しまれてるよ。

うっ、それ以上私を見ないで下さい。追及しないで下さい。

ゆっくり久世さんから視線を逸らし、キッと奈々子を睨む。

奈々子の馬鹿‼

何してくれてんの、寿命が縮むよ~!

奈々子に向かって口パクで抗議していると、久世さんが急に表情を変え、口を開いた。

「ところで、薫子の消息がつかめたよ」

「え?」

お姉ちゃんの消息がつかめた?
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