イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「この封筒……ひょっとして……」

封筒を手にとって中を取り出して見ると、それはあの婚姻届だった。

「見つけた!」

でも、刹那さんの署名捺印と私の署名があるが、私の捺印と証人欄の記入がない。

捺印……後でうちの親にもらうとか言ってたのに……。

「最初から私と結婚する気なんてなかったのかな。ただ、私をからかっただけ?お姉ちゃんが戻るなら、私は……お役御免だ」

刹那さんが何を考えてるのか全然わからない。

じっとその婚姻届を見ていると、知らず涙が溢れた。

涙が頬を伝って、婚姻届にぽたぽた落ちる。

「……この婚姻届は不要だ」

そう呟いて、私はビリビリと婚姻届を破いてゴミ箱に捨てると手で涙を拭った。

「荷物もまとめておかなきゃ……」

ふらふらしながら書斎を出て、私の私物が置いてある部屋に向かうとクローゼットに入っている服を取り出し、一つ一つ畳んでスーツケースに入れていく。
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