イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
ティースタンドには色違いのスコーンやマカロン、ケーキ、サンドイッチが乗せられている。

そう、私はアフタヌーンティーを楽しみに来たのだ。

「目の輝きが違うな。宝石店では死んだ目してたのに」

刹那さんが私を見て面白そうに笑う。

「だって、アフタヌーンティー好きなんですよ。ところで、刹那さんのメガネって度入ってませんよね?」

「どうしてわかった?」

「前に……刹那さんに内緒でアルバム見たら、高校から急にメガネかけてたし、近づいて見ると度が入ってるようには見えなくて……。外しても見えるんだったら、外しましょうよ。今はプライベートの時間ですよ」

私は手を伸ばして刹那さんのメガネを奪った。

メガネの刹那さんも格好いいけど、メガネなしの刹那さんも凄く好きなのだ。

レンズがない分、壁がなくなって彼の本心が見える気がするし。

「これは、ホテルの人に預かってもらいます!」

「自分が管理しないのか?」

無理矢理奪ったのに、刹那さんは怒らず面白そうに私を見ている。

「壊す恐れがあるから……。それに、ホテルの従業員の人だって、社長がお客さんだと緊張しちゃいますよ。経営者ならそういう気遣いしても良いですよね?」
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