イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
唇が触れ合う優しいキス。

周りには誰もいない。

目撃者は蛍だけ。

キスが終わると、刹那さんは後ろから私を優しく包み込むように抱き締めた。

「気に入ったならまた見に来るか?」

「はい」

私は刹那さんを見上げながら笑顔で答える。

「七月初旬ぐらいまでは見れるぞ」

刹那さんの言葉にハッとなる。

七月初旬って刹那さんとの約束の期限の時期だ。

刹那さんは知ってて言ってるのだろうか?

それとも、ただの社交辞令?

この幸せな時間が続けばいい。

幻想的に舞う蛍を眺めながら、私を抱き締める刹那さんの手に自分の手を重ねる。

「毎年見れたらいいな」

刹那さんと一緒に……。
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