イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「……はい。聞いてます」

『薫子と刹那が今会ってるらしい。今、どこにいるの?』

「……銀座のカフェに」

『銀座か。十五分くらいで着くと思うから、場所教えてくれる?』

「……はい。銀座一丁目の交差点の近くです」

『わかった。着いたら連絡するから、待ってて』

「はい」

久世さんがプチっと電話を切ると、私はスマホを持っていた手をダラリと下ろした。

「あんた、顔面蒼白よ。久世先輩、何て言ってたの?」

「……お姉ちゃんが今、刹那さんと会ってるって」

「薫子さんが戻ってきたの?」

「うん。状況はよくわからないけど、久世さんが迎えに来てくれるみたい。もし……私がホームレスになっちゃったら、奈々子泊めてね」

私はすっかり気落ちしていた。

「何最初から弱気になってんのよ。こうなったら自分の気持ちを素直に鷹司先輩に伝えるのよ!変な心配しない!」

奈々子が私の背中を思いっきり叩く。
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