イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
バンと叩きつけるようにエレベーターのボタンを押すが、エレベーターはまだ一階ですぐには来ない。

「ああ、もう早く来てよ……」

私ってこんな時まで不幸なの?

こんな無様な自分は誰にも見られたくない。特に刹那さんには。

もう全て終わった。

今日から一体どこに住めば良いのだろう。

刹那さんのとこにはもう住めないし……。

実家には……私の部屋はもうない。

ずっとホテル暮しなんて無理だし……。

「私の居場所……なくなっちゃった」

嗚咽をもらし泣いていると、誰かに抱き締められた。

刹那さん?と咄嗟に思ってハッとして顔を見上げると……久世さんだった。

刹那さんじゃなくてガッカリする自分がいる。

刹那さんにはもう何も期待は出来ないのに……。

「桜子ちゃん、刹那さんの事なんて忘れて。僕じゃ駄目かな?」
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