イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
横にいる鷹司さんは私のどんぶりより大きいから大盛かな。

じっと見ていると、牛丼屋には似つかわしくない美しい所作で彼は牛丼を口に運ぶ。

「手、止まってる」

私の視線を感じたのか、鷹司さんがチラリと横目で私を見て注意する。

「はい、食べます!食べます!」

慌てて牛丼を口に運ぶ。

一先ず鷹司さんの事を頭から追い出し、どんぶりだけを見てひたすら箸を動かした。

そんな私を面白そうに鷹司さんが見てる事に気づかずに……。

安いし、早いし、美味しいし、牛丼最高~。

大学院を出て一人暮らしを始めたら、毎週通おう。

私が満足気に牛丼を平らげると、先に完食した鷹司さんが突然話を切り出した。

「期限は一ヶ月だ」

「へっ?」

素っとん狂な声が出た。

期限って何?
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