イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「綿菓子頂きます~!」

虚ろな目で呟いて、がぶっと俺の指ごと桜の花びらを食べようとする。

「あっ」

パクッと指を噛まれ声が出る。

一瞬の出来事に俺は固まった。

彼女も何かおかしいと気づいたのだろう。

目をしばたいて俺の指を見ると、今度は俺の顔を凝視し、やっと目が覚めたのか「ぎゃあー」と叫んで一メートル程飛び退いた。

衝撃的だった。

彼女の反応が面白くて声を上げて笑ってしまった。

「大丈夫だ。取って食いはしない」

優しく言って、ゆっくり立ち上がる。

食われたのはむしろ俺の方。

彼女は申し訳なさそうな顔をしながら、ペコリと頭を下げた。

「ごめんなさい。指……噛んじゃいましたよね?」

心配そうに俺の指をじっと見る。
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