イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「確かに顔は可愛いな」

俺は秋人の言葉に同意する。

だが、性格は一癖ありそうだ。

でも……あれが噂の梅園の妹とはな。姉とは似ても似つかない。

「顔は?って何かあるのか?」

「いや、何でもない」

昨日の事を思い出してフッと笑う。

秋人に昨日の出来事を説明したところで信じないだろう。

それから、俺は旧校舎の図書室で寝ている桜子を頻繁に目撃する事になる。

「桜の木の下で寝るなとは言ったが、今度は図書室か?」

本を広げて突っ伏して寝ている桜子を見て唖然とする。

幸せそうで無防備な寝顔。だが、無防備過ぎるのも困りものだ。

思わずその顔に触れてしまいそうになる。

彼女に近づいて悪さしそうな奴らがいて、何度か彼女に声をかけた事もある。

「桜子」

だが、桜子はすっかり夢の中。起きる気配がない。
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