イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
上から目線の言い方。

だが、薫子は今までに見せたことのない優しい顔で微笑んだ。

「ああ、そうさせてもらう」

俺が指輪をつかんで席を立ち桜子を追おうとすると、薫子が「お幸せに」と呟くのが聞こえた。

悪女と呼びたくなる女だが、妊娠して少しは改心したのかもしれない。

ラウンジを出ると、エレベーターの前に桜子と秋人がいた。

「ごめんなさい!」

桜子がそう叫んで、秋人の腕の中から逃れると俺は慌てて彼女に駆け寄った。

「秋人、そこまでだ。部外者が口をはさむな」

「……全く、僕の無様な姿を見て笑いにきた?桜子ちゃん、良いこと教えてあげるよ。高校の時、君に学ランを貸してあげたのは僕じゃない」

「……久世さんじゃない?」

「横にいる男に聞いてごらん。嘘ついてごめんね」

秋人は悲しそうに笑うと、またラウンジの方へ戻っていった。
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