イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
二人の会話の内容から察すると、秋人は高校の頃に桜子に学ランを貸したのは自分だと名乗っていたらしい。

「桜子、全部説明するから、落ち着いて話を聞け」

俺は桜子の手をつかんだが、彼女は俺の手を振り払った。

「嫌です!」

桜子はエレベーターに飛び乗ると、俺の制止を無視して扉を閉めた。

ここで追ってもいいが、少し頭を冷やす時間を与える必要がある。

日付が変わるまでに何の連絡もなければ、彼女が嫌と言っても家に連れて帰ろう。

桜子からの連絡を待っている間は、仕事をしていても落ち着かなかった。

夜の十時三十分頃、スーツのポケットに入れておいたスマホがブルブルと震える。

画面を見ると桜子からの着信。

「桜子、今どこにいる?」

慌てて電話に出るが、電話の相手は桜子ではなかった。
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