イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
私は黒のバッグからスマホを取り出し、姉にかける。

でも、姉は電源を切っているのか繋がらない。

「ああー、もうー、お姉ちゃん、何やってるの?」

念のためあと三回かけたが、三回ともダメだった。

最悪……。

何でこのタイミングでいなくなるの?

「お母さん……繋がらない。どうしよう……」

私は青ざめる。

何だろう?鳥肌も立ってきたし……悪寒がする。

「おい、薫子の準備は出来たのか?鷹司さんが……‼」

ドアを開けて入ってきた父は、ドレッサーの鏡に気づいて目を見開く。

「……これはどういう……」

父の目は驚愕に震えていた。

「お姉ちゃん、いなくなったみたい。携帯も繋がらない。……どうする、お父さん?」

いまだにショックで言葉を発しない母に代わり、私は事実を伝える。
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