イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「お父さん、もう時間がないよ。鷹司さんがチャペルに行く前に事情を説明して中止ってつ……‼」

伝えて……と、私が言いかけたその刹那、扉が勢いよく開いてメガネ男が優雅な動きでカツンカツンと靴音を立てて部屋に入ってきた。彼の後ろには榊さんとかいう男性秘書がいる。

……魔王降臨だ。

私の身体は彼の登場で凍りついた。

怖い……。なんか冷気が漂ってるよ。

さっきの悪寒はこれだったのか……。

「中止にはしない。俺に恥をかかせるな」

周囲の空気をも凍りつかせそうな冷たい声。

……鷹司刹那。

姉の結婚相手。鷹司グループの御曹司で、ホテルTAKATUKASAの社長。

二十六歳という若さだが、彼の経営手腕は凄い。ここ数年の間に世界の主要都市の土地を買収して高級ホテルを建設し、海外の有名高級ホテルの仲間入りを果たした。このホテルもTAKATUKASAだ。
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