イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「俺が寂しい…か。ところで、君の一番の関心事の寝室についてだが、君の期待通り俺の寝室を使ってもらう」

刹那さんが瞳に暗い影を落としたと思ったら、すぐに口角を上げ意地悪な笑みを浮かべる。

……俺の寝室。

刹那さんの冷たい声がこだまする。

ドンとハンマーで頭を殴られたような衝撃が私を襲う。

本当に?本当に?

私が信じられないという顔で刹那さんを見ると、彼は面白そうに軽く頷いてみせた。

何だか身体がくらくらする。

今日はお姉ちゃんがいなくなったせいで朝からずっと緊張を強いられて、もう自分のキャパを超えてしまったのかもしれない。

目の前には黒い渦巻きが見えて、自分の身体が巻き込まれそうだ。

逃げようと思っても身体が動かなくてどうする事も出来ない。
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