イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
きっと会社で忙しく仕事をしているのだろう。

靴を履き終ると、ガチャという音がして玄関のドアが開いた。

「おはよ、桜子ちゃん。ハァーッ、間に合って良かった」

「右京さん……」

右京さんが息急き切って現れる。

「遅れてごめん。刹那兄から聞いてると思うけど、これから毎日大学まで送り迎えすることになったから」

「でも……子供じゃないし、大学まで行けますよ」

「桜子ちゃんは、わかってないなあ。鷹司家の嫁だよ。誰かに誘拐される可能性だってあるんだよ。お願いだから、もうちょっと危機感持ってね。無自覚なのが一番怖いから」

「はは、まさか」

「まあ、桜子ちゃんが逃げないか見張ってるというのもあるんだけどね」

「……やっぱり」

私はガクッと項垂れる。

あの冷血メガネ男が親切心で送迎してくれるわけがない。

梅園家の娘二人が逃げたんじゃあ、お祖父さんだって手術受けないって言うかもしれないし、結局自分のためなんだ。

そう思うとちょっと胸がチクンと痛んだ。
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