イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「桜子ちゃんのスマホに僕のメアドと電話番号も登録済みのはずだから、講義が終わったら連絡くれる?あと、これは生活費」

右京さんが胸ポケットから封筒を取り出すが、私は頭を振った。

「受け取れません。私は刹那さんの本当の妻じゃありませんから」

それに、愛人でもない。

右京さんにお金を渡そうとさせるなんて最低。

「じゃあ、必要経費と思えない?」

困ったような表情で右京さんは私の手に封筒を握らせようとするが、私の意志は変わらない。

「刹那さんのお金は使えません」

一円足りとも刹那さんのお金なんか使いたくない。

変なプライドかもしれないけど、彼のお金を使ってしまったら自分が酷く汚れてしまうような気がした。

それから、右京さんとは車内でもずっと無言のまま。
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