イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「ふうん。つまり、薫子に逃げられた?」

クスッと久世さんが刹那さんをからかうように笑う。

だが、私の予想に反して刹那さんは悔しがる様子もなく、フッと微笑してみせた。

「それは想定内だ」

……何だろう、この余裕。

まるで、お姉ちゃんが逃げる事は予想してた言い方じゃない?

まあ、幼稚園から高校まではずっとお姉ちゃんと同級生だったんだから、お姉ちゃんの性格くらい知り尽くしてるだろうけど。

「そうなんだ?仕事が忙しいのに、わざわざ妻を迎えに来るなんてお前も変わったね。しかも、政略結婚の相手なのにさあ」

「余計なお世話だ。桜子、帰るぞ」

刹那さんが私の手をぎゅっと掴む。

……手が痛い。そんな力入れなくても……。

「……で、でも……まだ仕事が……」

「今日はもう上がっていいよ、桜子ちゃん。でも刹那、桜子ちゃんはこの仕事が好きなんだ。辞めさせるような事はしないよね?そこまで心が狭い男じゃないと、僕は信じてるよ」

久世さんが刹那さんに挑戦的な目を向ける。
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