イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「桜子ちゃんはとってもいい子なんだ。彼女を泣かしたら僕が許さないよ」

「お前に何が出来る?」

刹那さんが久世さんを見据え、片眉を上げる。

「お前っていつだって無表情で、僕の欲しい物を易々と手に入れるんだ。正直言ってムカつくんだよ」

「それはお前が本気にならないからだろう?」

「まあね。だから……桜子ちゃんを泣かせたら、今度ばかりは僕は黙っちゃいないよ。本気でいく」

……二人の話がなんかおかしな方向にいってない?

私を守るために、久世さんも心にもないこと言っちゃって……。

私の事を心配してくれるのは嬉しいけど、刹那さんに喧嘩を売ったら久世さんだって何をされるかわからないのに。

「勝手にしろ」

刹那さんは久世さんを睨み付けるようにそう言うと、私を椅子から立ち上がらせて手を引く。

「久世さん……」

私が不安げに久世さんを振り返ると、彼は私を安心させるように微笑んだ。
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