イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
私の言葉に奈々子が信じられないいった表情で目を丸くする。

「あの鷹司先輩を襲った?……あんた、大物ね」

「だから……寝ぼけてたんだってば」

好きで襲ったわけじゃない。

たまたま近くに刹那さんがいたから間違えただけだ。

「あんた本で妄想し過ぎて欲求不満になっちゃったんでしょう?」

「刹那さんと同じ事言わないでよ。これ……絆創膏で誤魔化せるかな?」

私は首筋のキスマークを手で押さえる。

知ってしまった以上、このままでいるのは恥ずかしい。

「絆創膏だと不自然ていうか余計目立つわよ。コンシーラー塗って誤魔化した方がいいわね」

「コンシーラーって?」

「……まあ隈とかシミとか誤魔化すための魔法の道具よ。あんたの肌、白くてシミもなくてファンデいらずだもんね。羨ましいわ」

「化粧ってメンドーなんだよね。私がやるとパンダになるんだもん」
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