君のいいところ、1つしか思いつかない。
単純すぎる私の思考回路は全部伝わってしまったようで、呆れたようにさ瞬きをした篠宮くんは、面倒臭そうに本の表紙を私に向けた。
「…」
タイトルからして難しそうで、理解できない。
どうせ分からないだろ、みたいな顔してる篠宮くんに何も言い返すことができない。
「じゃあ、ココアここに置いとくよ?」
「いらないから持って帰って」
「やだ」
ふふ、と笑ってココアをカウンターに置いたまま図書室を出た。