君のいいところ、1つしか思いつかない。
それからというもの、私は図書室に行くことが多くなった。
まあ、お目当ては本じゃなくて篠宮くんだけど。
「しーのみーやくん♪」
今日の差し入れはチョコレートだよ、とカウンターにチョコを置く。
「図書室では静かにして。
あと飲食禁止」
「えー、へへ」
へらっと笑ってみせると、ため息をついて本に目を戻してしまう篠宮くん。
来るたびに読んでいる本が変わっているものの、全部難しそうで私にはきっと到底理解できないだろう。
「私にも読めそうな本紹介してよ、図書委員さん!」
そう言うと、
「そこの後ろから2列目の棚のコーナーなんかいいんじゃない」
本から目を離さずに答えられた言葉に、2列目の棚に行ってみる。