【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
──あれ。たった今まで、僕の本って表紙が隠れてたよね?どうして、僕の本がその本だって気づいたんだろう。
そんなの口にできるわけもなくて。
「日下って、もしかして英語得意?
これ、全部読んでんの!?」
「え、まさか……雰囲気だけだよ」
「あ、そうなんだ。真剣に見てるから読んでんのかと思った」
お世辞にも、僕の英語の成績は良いとは言えない。そんな僕が英語の本なんて読めるわけないよ。
あくまで、雰囲気だけ。
「そうなのかー。いや、俺も洋楽とか聴くんだけど」
「え、そうなの?」
「うん。でも、俺も洋楽は雰囲気だけなんだよなぁ。
気になった歌詞とかは調べるけど、基本は雰囲気だけで聴く感じ?」
「うんうん……
もしよかったら、今度洋楽のCD貸してあげようか……?」
家にたくさんあるし、ひとつくらい佐原くんの好みのCDがあるかもしれない。
そう言った僕に、佐原くんはキラキラと目を輝かせて喜んでくれた。──僕と佐原くん。正反対の僕らが、打ち解けた瞬間だった。