【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「え、いいの?」
「うん。だって日下くんのために残しといたんだよー?」
「えへへっ。ありがと」
「……っ」
毎日、楽しかったんだ。
そして、僕の存在をこうやって明るみに出してくれた佐原くんとは、いつの間にか名前で呼び合うまでになっていた。
「陸」って呼べば返事してくれて、「梓」って呼ばれたら返事する。何気ないそのことが、僕にはとても嬉しかった。
「梓ー、帰ろー」
「あ、待って、いま行く……!」
家も同じ方向だったから、一緒に帰ることも多くて。
帰り道の話題は、ほかの人にはわかってもらえないような洋楽の話とか。
「そういえば、梓って好きなヤツいないの?」
「うーん、僕ねぇ……
実は初恋まだなんだよー」
「まじか。でも、いいんじゃね?
好きなヤツ出来たら、俺に教えてな」