【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「エアコンつけて」
「わがままだな。俺ひとりのときは、滅多につけねぇんだよ」
「嘘だ」
「嘘だけどな」
じと目で俺を睨む羽歌に、「さっさと着替えてこいよ」と言いつつエアコンをつけてやる。
理性がもろいのと同じぐらい、俺は羽歌に甘い。……いや、それ以上だな。
──羽歌が好きだと気づいた瞬間から、いとことして築いてきたはずの感情はいとも簡単に消え去った。
もう、いとこなんて甘いもんじゃ足りない。もっともっと、羽歌のそばで、羽歌の隣で。
羽歌が、俺に惚れてくれればいいのに。
そんなことまで考え出して、本当は咲乃にさえ譲りたくないのに、羽歌に嫌われる方が嫌で、偽った感情を口に出す。
決して自分ができた人間だとは思ってなかったけど、つくづく最低だな。
「和泉、朝は私が作ろうか?」
穏やかな羽歌の声に、ようやく俺の感情も落ち着いてきて、「俺が作るからいい」と、彼女の頭を撫でる。
──好きになったらなんて、簡単に言うなよ。