私の横に居る人
「うまく抜けられたみたいだな。さあ、早くここから離れて海の方へ行こう。」

智樹先輩は私の手を取って、走り出した。

足の長い先輩に付いていくのが、大変。

「先輩!早いです!」

思わず叫んだ私。それと同時につまずいた。

「きゃあ~。」

「悠ちゃん!!」

振り返った先輩の胸にスポッと納まってしまった。

ドキドキが止まらない。

「先輩、ごめんなさい。」

顔を上げようとするが、私の顔を自分の胸に押しつける先輩の腕の力が強くて上げられない。

「ちょっとだけこのままで。」
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