私の横に居る人
「智樹…、どういう事?」

私は智樹の斜め後ろから、耳元で囁いた。

「悠がいない生活に俺が限界なんだ。」

顔を赤くしてチラッと私の方を見て、智樹が私に囁く。

そしてもう一度お父さんの方を見ると

「実は、本社から仕事で一応認められまして、こちらの研究所に転勤が決まりました。元々こちらで就職するために選んだ会社でしたから。」

そうなんだ。転勤の事も、結婚の事も初めて聞いた。

私は後回しにされちゃったみたい。

「何で私に話してくれなかったの?」

「驚かせたくて。」

にっこりのん気に答える智樹に、意地悪を言ってみる。

「私が断ったらどうするの?」

「えぇ~!」

すごくびっくりする智樹。
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