私の横に居る人
「大丈夫よ！あの斉藤さんなら大歓迎よ。」

そのお母さんの言葉を聞いて、お父さんは、玄関へ歩いて行った。

まだ外にいた斉藤先輩に、お父さんが声をかけている。

「そうか、確かに同じ大学だなとは思ったが、学部も違うし接点があるとは思えなかったんだが、こんな事もあるんだな。それなら一度会わせておくんだったな。」

お父さんがご機嫌で、大きな声で話している。

「こないだお邪魔した時は、悠さんが出かけていて、ちらっと帰り際にお見かけした程度だったので…。」

丁寧な話し方をしている斉藤先輩は、少し大人に見える。

「滅多に出かけない子なんですけどね。麻帆ちゃんと夕御飯を食べてきた日だったわね。」

お母さんも、思い出すように話に入る。

「斉藤君は下宿生だから、時々夕飯を食べに寄るといい。悠の先輩になったんだから、余計に何の遠慮もいらない。」

「大歓迎よ。男の子はたくさん食べるから、料理のし甲斐があるわ。」

お母さんは、こう見えても料理教室の先生をしている。
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