落ちる恋あれば拾う恋だってある
「無防備に足出されて、正直今日は理性を保てないよ」
穏やかな声でそう言った椎名さんの目は私を逃がす気など無いとでもいうかのように真っ直ぐ私の目を見つめる。
「もうとっくに……私の気持ちは椎名さんのものです……」
そう言った瞬間私の体は椎名さんに抱えられ、ベッドの上に座らされた。
椎名さんは片膝をベッドの上に載せ、壁に手をつくと私が逃げないように閉じ込めた。
「じゃあもっと。全部俺のものになれよ」
不敵な笑みを浮かべて椎名さんはどんどんベッドに体重をかける。
「ご飯は? 食べに行くんじゃなかったんですか?」
「それよりも重要なことがあるからね」
「強くきたって、私そんなに簡単じゃないですから……」
「うん。ここまでくるのは簡単じゃなかったよ」
椎名さんの顔が再び近づいてくる。唇がもうすぐ重なってしまいそうだ。
「俺こう見えて今必死に夏帆ちゃんを手に入れようとしてるから」
壁についた手と反対の手が私の髪を弄び、流れるような動きで指が唇を撫でた。
「好きだよ夏帆。もう絶対離さない」
「私も……椎名さんが好き……」
そう言った瞬間唇が重なる。そのままゆっくりと押し倒された。
「俺もう止まんないから。嫌なら嫌って言いなよ」
「……嫌じゃないです」
その言葉を待ってましたとばかりに、椎名さんの指は私のブラウスのボタンを外し始めた。
「あの……椎名さん」
「もう止まんないよ?」
「そうじゃなくて……椎名さんががっかりするかもしれないです」