【短】流星☆BOY〜星に願いを〜
 カチャカチャと食器を片付ける母に笑うリゲル。

「おばさま、お食事とてもおいしかったです」

「お口にあって嬉しいわ。明日の朝も、おばちゃんがんばっちゃうから!」

 そういってぐっと両の拳を握り締めた母。



 あたしは呆れて部屋に戻ると、余っている客用の布団をベッドの下に敷いていた。


 文句ひとついわせず、ベティを丸め込んだあたしたち。

ベティとリゲルの出発を明朝とし、この夜だけは一つ屋根の下で過ごすことになった。


「リュウセイといい、リゲルといい……うちの母を扱うのがうまいのね」


 我ながら情けないというか、なんというか。

はあ、とため息をついてシーツを引っ張っていると、あたしの部屋が開いた。


「ヒメリー?」

 顔をひょっこりだしたのは、ウワサのリゲル。


「ほーら、リゲルが使う布団なんだから手伝って!」

 嬉しそうにうなずくと、あたしと対面してシースをぴっと皺なくかぶせた。

すこし冷たいシーツの感触に俯いたリゲル。


 あたしまでつられてしまい、そっとベッドに腰掛けた。



「あの、ありがとう。ヒメリ」

 もじもじとリゲルがつぶやくから、あたしはちらりと見上げて笑い飛ばす。


「何いってるの!……これからでしょう?」

 顔を上げたリゲルは嬉しそうにはにかんでいた。



「ちがうわ、あたしのことじゃなくて……リュウセイのこと」

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