ホップ・ステップ・飛び膝蹴り
あたしに背を向けて、尚の首根っこを掴んで引きずる大成。
その膝の裏に蹴りを入れる。
「いっ……!」
「ざまぁ」
「っんのオトコオンナ……」
「なんか言いやがったか?」
互いに睨んで顔をそらす。
あー……、またやっちまった。
いつまで経っても慣れない、このやらかした感。
柄にもなく胸が痛む。
なんでこうも素直になれないかなぁ、とため息を吐いた。
休憩が終わった部員たちの方をちらりと見る。
大成はキャプテンだけど、特別上手いわけじゃない。
もちろん下手じゃないんだけど、エースとかじゃないんだよな。
周りをよく見て、パスや指示を出すことが多い。
いないとだめな必要な存在だけど、得点を稼ぐことは早々ないんだ。
だけど、尚は違う。
まだ1年生だけどセンスがあって、今年1の有望株。
チームを盛り上げる力があるから、既に次期エース候補。
なんか中学の頃は強いところにいたんだとか。