ホップ・ステップ・飛び膝蹴り




うちのバスケ部は弱いから、尚くらいのレベルになると、それなりなはずの大成より少し上手いくらい。



滑らかなドリブル。

大成を抜いてシュートを決めた尚があたしに手を振る。



「李穂せんぱーい!
見てくれてましたかー?」

「李穂李穂ってうるさいばか」



あ、大成にげんこつ落とされてら。

懲りないやつだなー。



「真面目に練習してろー!」



そう叫んで、洗濯物をかごに入れて、抱える。



ドリンクの設置をとうに終えてそばにいた新入りマネを連れて。

さぁ、洗濯だ。



男子部員の洗濯ってやつは死ぬほど大変。

でもこれ、ふわっふわにできるとなかなか気分がいいんだよな。



「先輩って本当、尚に好かれてますよねー」

「嬉しくないけどな」



尚の10分の1……いや、100分の1でいい。

大成があたしに笑いかけてくれたら────、



「なんて、な」



無駄な想像だ。






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