蟲狩り少女
そして自己紹介は順調に進んで行って、最後の1人になった。


生徒の席は当然一番後ろの廊下側にある。


「最後、自己紹介」


先生がそう言い、残された男子生徒は椅子から立ち上がった。


「40番……脇マサヤ(ワキ マサヤ)。趣味はゲームで……好きな科目は……特にありません」


あたしの席までどうにか聞こえてくる声で、彼はそう言った。


成績が最下位なのを気にしているのか、ずっと机の上に視線を落したまま顔をあげようとしない。


B組の最下位なのだからそれほど悪い成績ではないハズなのに、彼の落ち込み方は普通じゃなかった。


きっと試験を受けた時はもっと自信があったんだろう。


「暗いやつ」


後ろからボソッとそんな声が聞こえて来て、あたしの体は硬直した。
< 11 / 289 >

この作品をシェア

pagetop